EVM(出来高管理)入門|SPI・CPI で進捗と予算を1枚で読む実務
『進捗 80%』が信用できないのは、出来高で測っていないから。EVM の PV・EV・AC の3点と、SPI・CPI・EAC の使い方を、現役コンサルマネージャーが現場目線で解説。難しい計算抜きで『遅れているのか・予算は持つのか』を1枚で判断できるようになる入門記事。
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「進捗は 80% です」——この報告ほど危ういものはありません。 残り 20% に最難関の作業が残っているかもしれないし、予定の倍のコストを使っているかもしれない。これを客観的に見抜くのが EVM(Earned Value Management=出来高管理) です。計算が難しそうに見えますが、使う数字は3つだけ。本記事は「遅れているのか・予算は持つのか」を1枚で判断できるところまで、実務目線で解説します。コスト面の基礎はコストマネジメントも参照を。
この記事の要点
- 📊 EVM は PV・EV・AC の3点だけで進捗とコストを同時に測る
- 🕐 SPI(進捗効率)= EV ÷ PV。1未満なら遅れ
- 💰 CPI(コスト効率)= EV ÷ AC。1未満なら予算超過
- 🔮 **EAC(完成時総コスト予測)**で「このままだといくらかかるか」が読める
- ✅ 「主観の進捗%」を「出来高ベースの客観値」に置き換えられる
1. 使う数字は3つだけ
| 略語 | 名前 | 意味(ざっくり) |
|---|---|---|
| PV | Planned Value | 今日までに完了している予定だった作業の価値(計画) |
| EV | Earned Value | 今日までに実際に完了した作業の価値(出来高) |
| AC | Actual Cost | その出来高のために実際に使ったコスト |
ポイントは EV(出来高)。「予定の何%の作業が“本当に終わったか”」を金額(または工数)で表したものです。主観の「だいたい80%」ではなく、完了した成果物ベースで積み上げます。
2. SPI と CPI で『遅れ』と『超過』を読む
3つの数字から、2つの効率指標が出ます。
- SPI(スケジュール効率)= EV ÷ PV
- 1.0 = 計画どおり / 1未満 = 遅れ / 1超 = 前倒し
- CPI(コスト効率)= EV ÷ AC
- 1.0 = 予算どおり / 1未満 = 予算超過 / 1超 = 予算内で進行
| 例 | PV | EV | AC | SPI | CPI | 読み方 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A | 100 | 80 | 80 | 0.8 | 1.0 | 遅れているが予算内 |
| B | 100 | 100 | 130 | 1.0 | 0.77 | 予定どおりだが大幅な予算超過 |
| C | 100 | 90 | 95 | 0.9 | 0.95 | 軽い遅れ+軽い超過 |
「進捗80%」だけでは A も B も区別できませんが、EVM なら一目で性質が分かります。
3. EAC で『着地』を予測する
今の効率が続くと仮定すると、完成時の総コスト EAC が予測できます。
EAC ≒ BAC ÷ CPI(BAC=完成時総予算)
たとえば総予算 1,000 万円で CPI が 0.8 なら、EAC ≒ 1,250 万円。**「このままだと 250 万円超過する」**と、早い段階で数字で言えます。感覚ではなく数字でエスカレーションできるのが EVM の価値です。
4. 小さく始める実務のコツ
いきなり全社的な EVM は重い。現場では次のように小さく始めると続きます。
- まずは主要なコントロールアカウント単位で PV/EV/AC を置く
- 出来高は 0/100 ルール(完了したものだけ100%カウント)で単純化
- 週次の課題管理・進捗報告に SPI/CPI を1行添える
- 悪化トレンドは早めにステコミへ
まとめ
- EVM は PV・EV・AC の3点で進捗とコストを同時に客観視する
- SPI<1 で遅れ・CPI<1 で予算超過、組み合わせで性質が分かる
- EAC = BAC ÷ CPI で着地を早期に数字で予測できる
- 機能の前提は完了定義が明確な WBS。出来高の水増しを防ぐ
「進捗80%」の曖昧さから卒業し、数字でプロジェクトを語れるようになる——それが EVM を学ぶ実務上のリターンです。
出典・参考情報
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