PMP コスト管理 完全対策|EVM 計算問題の解き方
PMP® 試験のコスト・マネジメント(4 プロセス)を 1 本で対策。コスト見積り・予算設定・コントロールを解説し、最頻出のアーンドバリュー・マネジメント(EVM)を PV/EV/AC の 3 値から SV・CV・SPI・CPI・EAC・ETC・VAC・TCPI まで、公式と計算手順つきで整理します。試験での問われ方と符号の覚え方まで網羅。
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「PMP® のコスト管理は EVM の計算問題が出る、と聞いただけで身構えてしまう」——本記事はその苦手意識を 1 本で解消します。結論から言えば、EVM はたった 3 つの値(PV・EV・AC) を起点に、差異指標・効率指数・将来予測を順に組み立てるだけの仕組みです。公式の「形」ではなく 「何から何を引く・割る」 の方向さえつかめば、計算問題は安定した得点源に変わります。
本記事では コスト・マネジメントの 4 プロセスを解説し、試験で最も問われる EVM の指標を公式と計算手順つきで整理 します。1 つ前の領域は「PMP スケジュール管理 完全対策」、10 領域全体の地図は「PMP 試験 10 のナレッジエリア 完全解説」、時間軸である 5 プロセス群は「PMP 試験 5 つのプロセス群 完全解説」、受験資格や学習計画は柱記事「PMP® 試験完全ガイド」をご覧ください。
コスト・マネジメントとは|「予算を決めて、超えないよう守る」
コスト・マネジメントは、プロジェクトを 承認された予算内で完了させる ための領域です。スコープ管理で「やること」を、スケジュール管理で「いつやるか」を固めたら、コスト管理で「いくらかかるか」を見積もり、予算化し、進行中はその予算と実績のズレを監視します。
コスト・マネジメントの 4 プロセス|全体像
PMBOK® 第 6 版では、コスト・マネジメントは 4 つのプロセスで構成されます。最後の「コントロール」以外は 計画プロセス群 に属します。
| # | プロセス | プロセス群 | 一言でいう役割 |
|---|---|---|---|
| 1 | コスト・マネジメントの計画 | 計画 | 見積り・予算化・管理のルールと単位を決める |
| 2 | コストの見積り | 計画 | 各アクティビティに必要な費用を見積もる |
| 3 | 予算の設定 | 計画 | 見積りを積み上げコストベースラインを作る |
| 4 | コストのコントロール | 監視・コントロール | 予算と実績のズレを EVM で監視し是正する |
💡 スケジュール領域が 6 プロセスだったのに対し、コスト領域は 4 プロセスです。「資源の見積り」はスケジュールではなく資源マネジメントにある点とあわせて、プロセス数を正確に覚えておきましょう。
EVM の起点|まず PV・EV・AC の 3 値を押さえる
コストのコントロールで中心になるのが アーンドバリュー・マネジメント(EVM) です。スケジュールとコストの進捗を「金額」という共通単位で同時に測れるのが最大の利点で、すべての計算はまず次の 3 つの値から始まります。
| 略号 | 名称 | 意味(ある時点で…) |
|---|---|---|
| PV | プランド・バリュー(出来高計画値) | 計画上いくら分の作業を終えているはずか |
| EV | アーンド・バリュー(出来高実績値) | 実際に完了した作業の出来高を予算換算した額 |
| AC | アクチュアル・コスト(実コスト) | その作業に実際にかかった費用 |
差異と効率指数|SV・CV・SPI・CPI を 1 表で
3 値が出れば、現状の健全性は次の 4 指標で評価できます。「EV から引けば差異、EV を割れば指数」「左がスケジュール、右がコスト」 の対称構造で整理すると忘れません。
| 区分 | スケジュール | コスト |
|---|---|---|
| 差異(Variance) | SV = EV − PV | CV = EV − AC |
| 効率指数(Index) | SPI = EV ÷ PV | CPI = EV ÷ AC |
将来予測|EAC・ETC・VAC・TCPI の解き方
現状の指数が分かったら、次は「このまま行くと最終的にいくらになるか」を予測します。ここが EVM 計算問題の山場です。起点は完成時総予算 BAC です。
EAC が出れば、残りと差異は引き算で求まります。
| 略号 | 名称 | 公式 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| ETC | 残作業コスト見積り | ETC = EAC − AC | あと完成までいくら必要か |
| VAC | 完成時差異 | VAC = BAC − EAC | 予算に対し最終的に黒字(+)か赤字(−)か |
| TCPI | 残作業効率指数 | TCPI =(BAC − EV)÷(BAC − AC) | 予算内完了に必要な今後の効率 |
つまずきやすいポイント整理|よくある誤解 vs 正しい理解
| よくある誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| EV は「かかった費用」 | EV は完了作業の出来高を予算換算した額。費用は AC |
| SV・CV はコストだけの指標 | SV はスケジュール差異。金額単位だが進捗を表す |
| CPI>1 は予算超過 | CPI>1 は予算内(好調)。1 未満が超過 |
| EAC は常に BAC÷CPI | 前提(一時的か継続か)で3 通りを使い分ける |
| VAC がマイナスは黒字 | VAC マイナスは予算超過(赤字)。プラスが黒字 |
EVM でコストを管理するメリット
- PV・EV・AC の 3 値でコストと進捗を同時に可視化できる
- CPI・SPI で「予算内か」「予定どおりか」を一目で判断できる
- EAC で着地見込みを早期に予測し、手当てを前倒しできる
- TCPI で予算内完了に必要な今後の効率を定量化できる
EVM を使わない/誤用したときのリスク
- AC だけを見て、出来高(EV)を無視し進捗を誤認する
- 差異と指数を混同し、好調・不調を逆に読んでしまう
- EAC の前提を取り違え、着地予測が大きくズレる
- コストベースラインを作らず、ズレの基準そのものを失う
まとめ|コスト管理は「3 値を起点に、引いて・割って・予測する」
PMP® のコスト・マネジメントは、①ルールを決め → ②費用を見積もり → ③予算(ベースライン)に積み上げ → ④ EVM で監視し是正する という 4 ステップの流れです。試験では「SV=EV−PV/CV=EV−AC」「SPI=EV÷PV/CPI=EV÷AC」「EAC=BAC÷CPI」「VAC=BAC−EAC」が繰り返し問われます。EV を起点に「引けば差異・割れば指数」、将来予測は BAC を起点に前提で式を選ぶ——この 2 原則を手元に置けば、計算問題は確実な得点源になります。
注釈:
- PMP®、PMI®、PMBOK® は Project Management Institute, Inc. の登録商標です
- 本記事のプロセス構成・用語は PMBOK® 第 6 版に基づく執筆時点(2026 年 6 月)の整理です。最新の試験範囲(ECO)は必ず PMI 公式サイトでご確認ください