Jiraの使い方 完全ガイド|PMが押さえるべき基本機能5つ

Jira(ジラ)の使い方を初めて使うPM向けに解説。プロジェクト作成・課題(チケット)管理・スプリント運用・ダッシュボード設定の手順を、スクラムとカンバンの両パターンで網羅。BacklogとAsanaとの比較表、よくある失敗5選、FAQ付き。

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Jira(ジラ)はAtlassianが開発する世界シェアNo.1クラスのプロジェクト管理ツールで、アジャイル開発を行うソフトウェアチームのデファクトスタンダードです。 PMとしてJiraを使いこなせると、スプリント管理・課題追跡・ダッシュボードによる進捗可視化を一元化できます。しかし「用語が多い」「どこから始めればいいか分からない」という声も多く、初期設定でつまずくケースが後を絶ちません。本記事ではプロジェクト作成→課題管理→スプリント運用→ダッシュボード設定の4ステップを軸に、PMが現場で即使える基本機能を網羅します。

Jiraとは何か|PMが知るべき基本

Jira(正式名称:Jira Software)はAtlassianが2002年に開発したプロジェクト管理・課題追跡ツールです。当初はソフトウェアのバグトラッキングシステムとして設計されましたが、現在はアジャイル開発プロジェクトのフル管理ツールとして世界23万社以上が利用しています。

Jiraのエディション(2026年現在)

エディション主な対象特徴
Free10名以下基本機能・スクラム/カンバンボード・2GBストレージ
Standard中小チーム監査ログ・プロジェクトロール・$8.15/ユーザー
Premium大規模チームアドバンスドロードマップ・容量無制限・$16.00/ユーザー
Enterprise大企業複数組織・SLA・カスタム契約

Freeプランでも10名まではスクラムボード・カンバンボード・バックログ・基本レポートが使えます。チームが11名を超えた場合に初めてStandard以上へのアップグレードを検討すればよいでしょう。

JiraとBacklogの根本的な違い

JiraとBacklogはどちらも課題管理ツールですが、設計思想が異なります。

  • Jira:アジャイル開発を前提に設計。スプリント・エピック・ストーリーポイントなどの概念が組み込まれており、スクラムチームには最適。学習コストは高め。
  • Backlog:日本企業向けに設計されたヌーラボ製ツール。ガントチャート・Git連携・Wiki機能が標準装備で、日本語UIが使いやすい。ウォーターフォール寄りのチームにも対応。

課題(チケット)の階層構造を理解する

Jiraを理解する最初の鍵は課題の階層構造です。issoh.co.jpによれば、Jiraの課題はエピック→ストーリー→タスク→サブタスクの4層で構成されます。

エピック(大きなテーマ:数週間〜数ヶ月)
  └── ストーリー(ユーザーへの価値を表す機能:1スプリント内)
        └── タスク(作業単位:数時間〜数日)
              └── サブタスク(さらに細かい作業:1〜数時間)

各課題タイプの役割

課題タイプ粒度の目安記述例
エピック数週間〜数ヶ月「ユーザー認証機能の実装」
ストーリー1スプリント内「ログイン画面のUI作成」
タスク数時間〜数日「ログインフォームのHTMLコーディング」
バグ修正作業「Safariでログインボタンが反応しない」
サブタスク1〜数時間「バリデーションロジックの実装」

プロジェクト作成 4ステップ

NRI asleadが解説するように、Jiraのプロジェクト作成は4つの選択で完了します。

ステップ1:プロジェクトテンプレートを選ぶ

Jiraにはプロジェクトテンプレートが用意されています。PMがまず選ぶべき代表的なものは以下の通りです。

テンプレート向くチームボードの種類
スクラムスプリントを回すアジャイルチームスクラムボード + バックログ
カンバン継続的に流れる作業(運用・サポート)カンバンボードのみ

スクラムを選ぶとバックログスプリントボードの両方が使えます。カンバンを選ぶとスプリントの概念がなく、WIP制限付きのカンバンボードだけになります。

ステップ2:プロジェクト名とキーを設定

プロジェクトキー(例:PMAPPINFRA)はチケットIDの先頭に使われます(例:PM-001APP-042)。後から変更できないため、分かりやすいキーを最初に決めてください。

ステップ3:アクセス権限を設定

プロジェクトの公開範囲を「非公開(特定メンバーのみ)」「社内全員」「プライベート」から選びます。外部ベンダーがいる場合は「非公開」でメンバーを個別招待するのが安全です。

ステップ4:ボードとワークフローを確認

プロジェクト作成後、ボードが自動生成されます。デフォルトのワークフローは「To Do → In Progress → Done」の3ステータスです。チームの実態に合わせて「コードレビュー」「テスト」などのステータスを追加できます。


課題管理の基本|チケット作成からワークフローまで

チケットの作成方法

CREXが解説するように、チケット(課題)の作成は画面上部の「+ 作成」ボタンから行います。PMが入力すべき主な項目は次の通りです。

項目入力内容
課題タイプエピック / ストーリー / タスク / バグから選択
概要課題の内容を1行で(例:「ログイン画面のUI設計」)
担当者作業を担当するメンバー(1人に絞る)
ストーリーポイント相対的な見積もり値(スクラムの場合)
期限完了目標日
スプリントどのスプリントに割り当てるか
エピックリンク紐づけるエピック

JQLで課題を高速検索する

JQL(Jira Query Language)はJira独自のクエリ言語です。複雑なフィルタリングを行う際に使います。PMがよく使うJQLの例を以下に示します。

-- 自分が担当者で未完了の課題一覧
assignee = currentUser() AND status != Done

-- 今スプリントで優先度が高い課題
sprint in openSprints() AND priority = High

-- 特定エピック配下の全課題
"Epic Link" = PM-001

-- 今週期限が来る課題
due <= endOfWeek() AND status != Done

スプリント運用|スクラムボードを使う場合

スクラムテンプレートを選んだ場合、スプリントの流れはDX Timesが解説するように5段階で回ります。

1. バックログで課題を積む

バックログ画面でエピック→ストーリー→タスクの順に課題を作成します。ユーザーストーリーの形式(「〇〇として、〜したい。なぜなら〜だから」)でストーリーを書くと、チームの合意が取りやすくなります。

2. スプリントを作成して課題を割り当てる

バックログ画面の「スプリントを作成」でスプリントを立て、スプリント名・期間(2〜4週間)・スプリントゴールを設定します。バックログから課題をドラッグ&ドロップでスプリントに移動し、チームのベロシティに合わせたポイント数でスプリントバックログを確定します。

3. スプリントを開始→ボードで進捗管理

「スプリント開始」ボタンを押すと、スクラムボード(To Do / In Progress / Done の列)に割り当てた課題が表示されます。デイリースクラムではこの画面を共有しながら「昨日やったこと・今日やること・障害」を確認します。

4. バーンダウンチャートで消化ペースを確認

スプリント中はJiraが自動でバーンダウンチャートを生成します。横軸が日付、縦軸が残ポイント数で、理想線(均等消化)と実績線を比較します。

残ポイント

40 |\ ← 理想線(均等消化)
   | \
30 |  \___   ← 実績線が理想線より上 = 消化が遅れている
   |       \
20 |        \_
   |          \
10 |           \___
   |                \
 0 |_________________\___→ 日数(スプリント10日)
   1  2  3  4  5  6  7  8  9 10

実績線が理想線より常に上(残ポイントが多い)なら、スプリントのキャパシティを超えている可能性があります。スプリント中盤(5日目前後)に確認し、乖離が大きければ課題を一部次スプリントへ移す判断をしてください。

5. スプリントを完了→レトロスペクティブ

スプリント期間終了後、「スプリントを完了」ボタンを押します。未完了の課題はバックログまたは次のスプリントへ自動移動を選べます。完了後はレトロスペクティブ(振り返り)でKPT(Keep・Problem・Try)を記録し、次スプリントに活かします。


カンバンボードで運用する場合

カンバンテンプレートを選んだ場合、スプリントは存在せず継続フローでタスクを管理します。カンバンとスクラムの違いで詳しく解説していますが、カンバンが向くのは以下のケースです。

  • 運用・保守・サポートなど、要求が随時発生し続ける業務
  • スプリントの計画が立てにくい割り込み多発チーム
  • 役割定義(PO・SM)を整備しないまま即日開始したいチーム

カンバンボードのポイントはWIP制限の設定です。各列(In Progress列)に「最大3枚」のような上限を設定することで、作業の詰まりが可視化されます。Jiraでは列の設定画面からWIP制限を数値入力できます。


ダッシュボードの設定|代表ガジェット4選

Jiraのダッシュボードは複数のガジェットを組み合わせて情報を一覧表示できます。リックソフトが紹介するPMが使うべき代表ガジェット4つを整理します。

ガジェット表示内容PMの使いどころ
スプリントバーンダウン残ポイントの推移グラフスプリントの消化ペースを毎日確認
課題統計ステータス別・担当者別の件数どのステータスで詰まっているかを把握
割り当てられた課題自分担当の未完了課題一覧自分のTo-Do管理
最近の活動プロジェクト全体の更新ログチームの動きをリアルタイムで把握

Jira vs Backlog vs Asana 3ツール比較

BOXILが整理する比較を参考に、PM目線での3ツールを比較します。

比較軸JiraBacklogAsana
主な対象アジャイル開発チーム日本の開発チーム全般クロスファンクションチーム
学習コスト高(用語・設定が多い)低〜中(日本語UIが直感的)低〜中(誰でも使いやすい)
スプリント管理◎ ネイティブ対応△ バーンダウンなし△ タイムラインで代替
ガントチャート△ Premiumのみ◎ 標準装備◎ 標準装備
Git/SVN連携◎ GitHub・GitLab・Bitbucket◎ 独自Git/SVN△ 限定的
ワークフロー自由度◎ カスタム自由△ 固定的○ 一定の柔軟性
価格(有料プラン)$8.15/ユーザー〜¥2,970〜(5名)$10.99/ユーザー〜
日本語サポート○ UI日本語対応◎ 日本語ネイティブ○ UI日本語対応

選び方の目安:

  • スクラムでソフトウェア開発をする → Jira
  • ウォーターフォール寄り・日本チーム中心 → Backlog(詳しくはガントチャートの作り方
  • 非エンジニア含むクロスファンクション → Asana

Jiraのメリット・デメリット

メリット

  • アジャイル(スクラム・カンバン)をネイティブサポート。スプリント・バーンダウン・ベロシティ管理が標準搭載
  • エピック→ストーリー→タスクの階層構造でプロダクトバックログを管理できる
  • JQLによる高度な課題フィルタリングで必要な情報を素早く抽出できる
  • GitHub・Slack・Figma・Confluenceなど主要ツールとの連携が豊富
  • Atlassianマーケットプレイスに1,000以上のプラグインがあり拡張性が高い

デメリット

  • 設定項目が多く、初期セットアップと運用に学習コストがかかる
  • ガントチャート(タイムライン)はPremiumプラン以上が必要
  • ドキュメントや一部機能は英語中心で、日本語情報が不足しがち
  • Jira特有の用語(エピック・ストーリーポイント・スプリントなど)にチームが慣れるまで混乱が起きやすい
  • Freeプランは10名まで。11名以上になるとコストが急増する

よくある失敗5選

失敗1:チケットの粒度がバラバラ

「ログイン機能を作る(エピック相当)」と「ボタンの色を変える(タスク)」が同じ「ストーリー」として混在し、ポイント見積もりが意味をなさなくなる。→ 作成時に「このチケットは1スプリント内で完了できるか?」を確認。できなければエピックに格上げ。

失敗2:スプリントに詰め込みすぎる

「早く終わるかもしれない」という楽観でスプリントバックログを過剰に積む。→ 前スプリントの実績ベロシティを基準に、80%程度の量に抑える。 ベロシティの測り方で計算方法を確認してください。

失敗3:ステータスを更新しない

担当者がJiraを更新せず、ボードの状態が実態と乖離する。→ デイリースクラムをJiraのボードを見ながら実施し、「ボードを見れば状況が分かる」文化を定着させる。

失敗4:バーンダウンチャートを確認しない

スプリント終盤まで消化の遅れに気づかず、最終日に大量のタスクが未完了になる。→ スプリント中盤(5日目前後)にバーンダウンを確認し、理想線との乖離が大きければスコープ調整を決断する。

失敗5:プロジェクトを乱立する

部門ごとに独立したJiraプロジェクトを作り、横断的な状況把握ができなくなる。→ 複数チームにまたがる大型プロジェクトはコンポーネント(機能区分)でプロジェクト内を分類し、1プロジェクトで管理する。


よくある質問(FAQ)

Q1. JiraとConfluenceはセットで使うべきですか?

Confluenceは同じAtlassianが提供するWiki・ドキュメント管理ツールです。JiraとConfluenceを連携すると、Jiraの課題から直接Confluenceの設計書や議事録へリンクできます。義務ではありませんが、「課題管理(Jira)+ 資料管理(Confluence)」のセットはプロジェクト情報の分散を防ぐのに有効です。

Q2. スクラムとカンバン、どちらのボードを選べばいいですか?

新機能開発など「スプリントで成果を積み上げたい場合」はスクラムボード、運用保守や割り込みが多い業務は「カンバンボード」を選びます。詳しくはカンバンとスクラムの違いを参照してください。

Q3. Jiraのスプリントは何週間が適切ですか?

スクラムガイド2020では1週間〜4週間が推奨されています。初めてスクラムを導入するチームには「2週間」がバランスが良く、レビュー・レトロスペクティブのサイクルを体験しやすいです。詳しくはスクラムの5つのイベント 完全解説で確認できます。

Q4. ストーリーポイントを廃止してJiraの時間見積もりに戻してもいいですか?

はい。ストーリーポイントが定着しない場合、時間(日・時間)での見積もりに切り替えても問題ありません。JiraはポイントでもTime Trackingでもバーンダウンチャートを生成できます。ただし、ストーリーポイントとプランニングポーカーの記事で解説するように、相対見積もりならではの利点を捨てることになります。

Q5. JiraのFreeプランと有料プランで実務上最も違う点は?

PMの観点ではロードマップ(タイムライン) の有無が最大の違いです。FreeプランはPremiumのAdvanced Roadmapsが使えないため、エピック間の依存関係や複数スプリントにまたがる計画を可視化したい場合はStandard/Premiumが必要です。10名以下のスクラムチームの開始段階ならFreeで十分です。


まとめ

Jiraの基本をPM視点で整理すると次の4点に集約されます。

  1. 階層構造を理解する:エピック→ストーリー→タスクの3層でバックログを整理する
  2. スクラムかカンバンを選ぶ:スプリントで積み上げるならスクラム、継続フローならカンバン
  3. スプリントはベロシティ基準で計画する:楽観値で詰め込まず、実績の80%を目安に
  4. ダッシュボードとバーンダウンを中盤に確認する:スプリント5日目に進捗乖離を察知し、早期に対処する

Jiraは高機能なぶん最初の設定が肝心です。まずはシンプルなスクラムテンプレートで始め、チームに定着してから段階的にワークフローをカスタマイズするのが失敗しない進め方です。

出典・参考情報

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